2019年3月14日木曜日

乾癬の鍵を握るのはマスト細胞

 マスト細胞は血液のあるところすべてに
あり、炎症やアレルギーの中核をなす細胞だ。
乾癬でもこれが解明のための主役であることは
ほぼ間違いなさそうだ。
それで、マスト細胞について調べてみた。
マスト細胞の応答の早い反応はよく調べられているそうだ。
蕁麻疹などはその機序が明らかになっているが
応答の遅いもの(乾癬)は未解明とのことだ。

マスト細胞の概略
【  マスト細胞は造血幹細胞に由来する血球系細胞です。
マクロファージや樹状細胞と同様に組織に分布しています。
血管が分布する組織であればほぼ全ての組織で
見いだすことができます。
 マスト細胞は1877年、
ノーベル生理学・医学賞を受賞した
Paul Ehrlich博士によって初めて報告されました。
 マスト細胞は中に詰まった顆粒を多数有します。
それがマスト細胞の大きな特徴の一つです。
この顆粒の中には、
強力な炎症性メディエーターであるヒスタミンや
多数のプロテアーゼ、ヘパリンをはじめとする
硫酸化プロテオグリカンが
豊富に含まれています。
当時はたくさんの顆粒は外部から物質を
取り込んだためと考えられ、
「大食細胞:Mastzellen」という名前がつけられました。
これがMast Cellの語源となりました。

 マスト細胞は、
即時型アレルギーにおいてヒスタミンを
遊離します。
 マスト細胞はIgEに対する高親和性受容体FcεRIを発現しており、
IgEを介して多様な抗原を認識することができます。
IgEを介して抗原がFcεRIを架橋することにより、
マスト細胞のスイッチがONになり、
様々な応答が引き起こされます。
例えば、花粉症では、スギ花粉由来のタンパク質が抗原となって
IgEを介したFcεRIの架橋が起こります。
マスト細胞の活性化は分単位で起こる素早い反応と、
刺激を受けて数時間後に起こる遅い反応があります。
速やかに起こる反応については良く研究が進んでおります。

 「脱顆粒」と呼ばれるプロセスを経て、
顆粒内部のヒスタミンをはじめとする炎症性のメディエーターが遊離します。
ヒスタミンは強力な起炎物質であり、浮腫や発赤といった炎症に特徴的な症状を起します。
くしゃみや鼻水、痒みといった花粉症の症状です。
こうした症状が生じる上でヒスタミンは重要な役割を果たしています。実際に、
ヒスタミンの作用をブロックする化合物や、脱顆粒応答を抑制する化合物は、
いずれも即時型アレルギーの治療薬として用いられています。
マスト細胞はヒスタミンの他にも炎症反応の進展に関わる様々なメディエーターを
産生することが知られています。サイトカインは免疫応答を制御する伝達物質として
重要な分泌タンパク質の一群ですが、
マスト細胞は極めて多彩なサイトカインを産生する能力を有しています。
マスト細胞から産生されるこれらサイトカインの個々の機能についてはまだ不明です。
(サイトカインとは細胞が出すホルモンです)

参照:マスト細胞とは
参照:マスト細胞の成熟と機能

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